CASE
「心はひとつだけど、お財布はふたつ」な夫婦を目指して
― どちらが婚前契約書を作ろうと言い始めた?
私です。前から婚前契約書を作りたいと思っていたわけではなかったんだけど、彼と結婚後の生活について話している中で、その内容をしっかりと形の残しておいた方が2人にとって良いと思って。
― どうやって切り出したの?
たしか、結婚する方向で話が進んでいる時期、家でご飯食べているときに、「婚前契約書作りたいんだけど、どう思う?」って聞きました。
― 反応怖くなかった?
引かれるんじゃないかと思って、怖かったですよ!でも、私の中でもじっくり考えた上での結論だったし、はなから否定せずにしっかり話を聞いてくれると思ってたから、エイヤって話をしてみました。
― 婚前契約書を作りたいと言われたとき、夫さんはどう返した?
普通に「いいよ」って。
― それはなぜ?
10年くらい海外で働いていて、婚前契約書を作るのが割と普通だったのが大きいかな。「今度結婚するよ~婚前契約?作る作る~。」という感じの軽いノリ。
― 実際に作ってみて、軽いノリで作ったのは正解だった?
正解だった(笑)まず、自分の中にある結婚のイメージを妻にしっかり伝えることができたのがよかったと思う。自分には、結婚して女性が仕事を辞めるっている発想がなかったんだよね。だから、結婚相手がずっと家にいるのが想像ができなかった。外で働く女性がすごく楽しそうだし、輝いているなって。日本に帰ってきたら、会社の同僚が、「妻が働かない。」って愚痴っているのをよく聞いたし、そういう状態だと、「自分が稼いだお金」っていう意識が強くて、なんか夫婦のバランスが良くない気がして。うちはそうならないように話し合いができたと思ってる。
― 「心はひとつだけど、お財布はふたつ」ってどういう意味?
私の中で、結婚が精神的な結びつきを強めるものであって欲しかったけど、お金の面でごちゃまぜになるようなことは嫌だったんです。だから、家計に入れる財産以外は、夫婦の共有財産にはせず、各自の財産と決めました。
― これに関して、夫さんはどう思ったの?
家計については半分ずつ負担するって決めたんだけど、実際は妻の方が自分のカード切ったりして大目に負担してくれたりはしてます(笑)
― 別々に財産を管理して不安はないの?
お互いに収入や貯金は教え合っているので、大丈夫!資産運用とかも情報共有して楽しくやっています。
結婚して割とすぐにFPさんに相談して、教育費とか老後に費用を含めてシュミレーションをしてもらったんです。それからは、あまり浪費しないようにお互いに監督しながら気を付けてます。
― 財産や家計のこと以外に決めたことは?
家事や育児は半分ずつ負担しようということは決めました。
自分は、自分の親の介護を妻にさせたくなくて。というのも、母親が父方の祖父の介護ですごく苦労したから、息子のお嫁さんには介護をさせないって言ってるし、自分も同じ思いだから。これは妻に話したけど、婚前契約書には書かなかったね。
そうね、家族だから必要なら協力したいし、私はわざわざ書く必要はないと思ったかな。
― 他に決めておけばよかったなと思うことはある?
毎年、結婚記念日あたりに1回は旅行に行くって決めとけばよかったねって話したことがあったね。
私は、「ありがとう」ってちゃんと言うって決めとけばよかったと思ってる(笑)
はい、ちゃんと言います(笑)
― 婚前契約書を作ってよかった?
気持ち的に、家族はもちろん大事だけど、「個」としての自分を自分で尊重できている気がしていて、私は作ってよかったと思ってる。あと、喧嘩して怒れてしまったときも、離婚したくなったら簡単にできると思うと、もうちょっとがんばろうと思えるかな(笑)
人と話すときに「婚前契約書結んでます。」って言うと、なかなか良いつかみになる(笑)というのは冗談としても、仕事でもそうだけど、話し合いをしても忘れてしまうことがあるから、しっかりと契約書として形に残しておいてよかったと思ってる。ときどき二人で内容を振り返ることがあるけど、そのときに初心に戻れるしね。